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2025年7月17日木曜日

――もうひとりの私と、あの頃の私へ

 本 わたしがふたりいた話

わたしがふたりいた話

小学生の頃、図書室で出会った本。
当時、私たちの中では
ちょっとしたブームの本でした。
40年ほど前、小学生だった方は
知っているかもしれません。

ある日、留守番をしていた
主人公の女の子”みどり”が
自宅の電話から、
自宅の電話番号へ電話をすると、
なんと、電話がつながったお話。

小学生のころ、電話のむこうに
こことまったく同じ別の世界があるのでは?
と、ドキドキしながら読んでいました。

そして、私も自宅の黒電話から、
自分の家にかけました。
残念ですが、つながりませんでした。

当時小学6年生だった私は、
物事もわかり始めた年ごろ。

もう一人の自分がいるとしたら?
もう一人の自分なら何を話してくれる?
今の気持ちを分かってくれる?
どういう返事をしてくれる?

期待したい、そんな不思議な、
胸が躍る気持ちでいっぱいでした。

子どもの日常の心に冒険心を
もたらせてくれる時間でした。

大人になって考えてみると、
冒険心よりも今の自分を
見つめなおす時間のように感じます。

毎日の忙しさに追われ、
1時間、1日、1週間、
そしてあっという間に
1年が過ぎ去ってく。

私は何をして過ごしたのか。
どう思っていたのか。
何がしたかったのか。
気づけば、あの日の気持ちも、
あのときの小さな疑問も、
何もかもが瞬く間に
過ぎていったように思います。

だからこそ、大切なのは
自分自身と向き合うこと
自分が何をすべきか、
何がしたいか、何ができるのか、

そう考えると、生きている喜びは
何より尊いものだと感じるのです。

命と向き合ったその日から、
私の人生は、静かに、
でも確かに、
新しい季節へと進んだように思います。



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